おはよう。さあ、開店の準備だ。
それじゃあ、いつものように床のモップがけから頼むよ。
まかせてください。
ぴっかぴかにしておきます!
私は元気よく返事をしたあと、さんざん使い古されたモップで床を丁寧に【みがいた】。
しばらくモップで床をゴシゴシと磨いていると、店長が重たそうなダンボール箱を抱えてやってきた。
聞いてくれ、新商品が届いたぞ。
こいつは、バカ売れ間違いなしだ!
俺の勘がそう言っている…。
じゃ、コイツをお店の一番目立つあそこの棚に出しておいてくれ。
くれぐれもいい感じに、な。
…は、はい。
正直、店長の勘ほどあてにならないものはないのだけれど…。
言われた通り新商品を【ならべた】。
そうだ。あまり期待はできないけど1つでも多く売れてくれるように飾り付けをしておかないと…!
私は、紙とペンを使って告知用のパネルを作り始めた。
『これぞ、ぶったまげの新商品!』
…と、これでカンペキだわ!
我ながらすばらしいものを作った。
ほれぼれするデキに満足しつつ、新商品の隣にそっと【そえた】。
作業は順調に進んでいるか?
お!お!これぞまさしく、いい感じ!
うんうん。ごくろう、ごくろう。
売り場に並びきらなかったぶんは倉庫へ運んでおいてくれるかな。
それじゃ、たのんだよ!
店長も準備で忙しいのだろう。
店長は私が返事をする前に慌てて向こうへ行ってしまった。
私は、新商品の入った思い箱を必死で倉庫の中まで【いどうした】。
これでよしっと!
…あれ?
倉庫にはからっぽのダンボール箱が無造作にいくつも転がっていた。
おそらく店長のしわざだろう。
もう、店長ったら…。
これは片付けたほうがよさそうね。
私は散らばったダンボール箱を、コンパクトにまとめられるようにひとつひとつ手で【つぶした】。
いたたっ!!
ダンボール箱を片付けているうちに指をケガしてしまったようだ。
紙というのは意外と危険である。
ケガといっても軽い切り傷。
私はとっさにケガした指をくわえ、傷口を【なめた】。
たしか、このへんに救急箱が…。
あった、あった。
救急箱から消毒液を取り出し、軽く傷口に塗って消毒した。
あっー!
しみるぅー!
しみる痛みにもだえながら、消毒を済ませたあと、私は、指に絆創膏を【はった】。
なんだ、ケガでもしたのか?
もう開店時間になるけど、大丈夫?
あ、はい。どうってことないんです。
ちょっとした切り傷なんで。
なんだ、それならよかった。
掃除もしたし、新商品も並べたし、もう店内の準備はバッチリだな!
それじゃあ、シャッターを開けて『営業中』の看板を店の入口にセットしてきてくれ!
私は、看板が人目につくよう、堂々と【おいた】。
…閉店後。
私が作った飾りが功を奏したのかはたまた店長の勘が当たったのか新商品はまさかの完売御礼。
開店直後から飛ぶように売れ、私も店長も大喜びです。
その後も、うちのお店は大繁盛。
毎日たくさんのお客さんが足を運んでくれています。
そのぶん忙しくなったけど、とっても充実した毎日です! ページ
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